ばらつきに悩むエンジニア
↓
手順が複雑で難しそう。
記事の内容
- 動特性のパラメータ設計のメリット・デメリット
- よくある質問【全て答えます】
- ロバスト設計の実践手順【簡単です】
記事の信頼性
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ロバスト設計のテキストを見ると”SN比”や”感度”といった見慣れない単語や数式があって難しそうですよね。
手計算やエクセルで実施するには工数がかかり、手順を間違える危険性もあります。
ではどうするか?
”動特性のパラメータ設計”は田口玄一先生の考案したタグチメソッドの1手法。
日本では「品質工学」とも呼ばれます。(出典:Wikipedia)
無料解析ソフトを使って”動特性のパラメータ設計”を実践することで、簡単に「ばらつきに強い」ロバスト設計が実現できます。
本記事では無料解析ソフトで”動特性のパラメータ設計”を実践する”5つの手順”を紹介します。
動特性のパラメータ設計を実践することでばらつきに強いロバスト設計となり、品質不具合から開放されますよ。
”動特性のパラメータ設計”のメリット・デメリット
初めに”動特性のパラメータ設計”を実践するメリットとデメリットを説明します。
動特性のパラメータ設計のデメリット
- 実験回数が多くなる
- ”SN比”と”感度”で評価するので分かりにくい
それぞれ簡単に説明します。
実験回数が多くなる
一般的に実験計画法と比べると”動特性のパラメータ設計”では実験回数が多くなります。
理由は組み合わせる因子の数が多いから。
通常、実験計画法で取り扱うのは”制御因子”だけです。
しかし”動特性のパラメータ設計”では以下の3つの因子の組み合わせで実験をします。
- 制御因子(設計者が設定できる因子)
- 誤差因子(ばらつきの原因となる因子)
- 信号因子(システムの入力となる因子)
実験回数は増えますが、誤差因子の影響を把握する事で”ばらつきに強い”水準組み合わせへと最適化できます。
”SN比”と”感度”で評価するので分かりにくい
実験計画法では”各因子が特性値に与える影響(要因効果)”を測る時には”特性値”をみて評価。
一方、”動特性のパラメータ設計”では、特性値を”SN比”と”感度”という指標に変換して評価します。
指標 | 改善できるもの | |
実験計画法 | 特性値そのもの | 特性値の平均値のみ |
動特性のパラメータ設計 | ”SN比”と”感度” | 特性値のばらつき・平均値 |
特性値の変換が必要となる分、分かりにくく感じます。
しかし、その恩恵として特性値の”ばらつき”と”平均値”の両方を改善することが可能です。
動特性のパラメータ設計のメリット
- ばらつきに強いパラメータ設計ができる
- 理想機能へと調整する事が可能
ばらつきに強いパラメータ設計ができる
最大のメリットがこれ。
実験計画法では平均値は改善できますが、ばらつきは変わりません。
イメージはこんな感じ。
一方で”動特性のパラメータ設計”はばらつきを減らした上で、平均値を調整します。(二段階設計という考え方)
イメージはこんな感じ
どれだけ平均値を改善しても”ばらつき”が大きければ不良品は発生するもの。
品質を改善するには”ばらつきに強く”することが非常に重要です。
理想機能へと調整する事が可能
”理想機能”って言われてもイメージしにくいと思うので具体例を出します。
例えば”水道の蛇口”をイメージしてください。
「蛇口を回した角度に比例して水の量が出る」というのが水道の”理想機能”です。
出典:タグチメソッド 実験方法、解析方法、統計との接点(富士ゼロックス株式会社 立林 和夫)
”蛇口を少し回したらいきなり大量の水が出る”というのは理想的ではありません。
実験計画法は「蛇口の回転角度が〇〇°の時に△△リットル/minの水が出る。」という、ある1点での最適化は得意です。
ですが「蛇口を回した角度に比例して水の量が出る」という”理想機能”は追求できません。
”動特性のパラメータ設計”によって”理想機能”を追求することで、顧客満足度は高まり、品質不具合からも開放されます。
実践する前によくある質問【全て答えます】
実践する前によくある質問
- 統計の知識が必要?
- プログラミングの知識が必要?
- 解析ソフトって操作が難しい?
- 解析ソフトって高いんでしょ?
- 追加料金・勧誘DMとかある?
質問①:統計の知識が必要?
ぶっちゃけ手順に従って操作すれば実践できます。
しかし結果を見るときには最低限の用語は知っていた方が良いでしょう。
不安な方はこちらのテキスト
「パラメータ設計・応答曲面法・ロバスト最適化入門 JUSE‐StatWorksオフィシャルテキスト (実務に役立つシリーズ)」がおすすめです。
質問②:プログラミングの知識が必要?
解析ソフト ”スタットワークス”はプログラミング不要。
私の記事を見ながら、画面のボタンをポチポチ押せば操作できます。
日本のメーカーが作っているので、表記も全て日本語です。
安心してください。
質問③:解析ソフトって操作が難しい?
私の記事を見ながら操作すれば大丈夫。
1手順ごとに画像付きで解説していますよ。
質問④:解析ソフトって高いんでしょ?
体験版には30日間の有効期間あり。
でも実はソフトをアンインストール→再インストールするとリセットされます。
つまり永久無料で使えるという事。
ただし体験版は扱えるデータ数が50個までという制限があります。
ですが、通常使う分には十分です。
詳細はこちらの「統計解析ソフト スタットワークス無料体験版のインストール方法」という記事で解説しています。
質問⑤:追加料金・勧誘DMとかある?
正規版を買う時にはもちろん費用がかかります。
ですが、体験版を使う分には一切料金は不要。
メールでのセールスもないのでご安心を。
ロバスト設計の実践手順【簡単です】
”動特性のパラメータ設計”の詳細手順はこちらの記事で紹介していますので、今回はその要点を抜粋して解説します。
実践手順は下記の5ステップに分かれます。
ロバスト設計の手順
- システムの機能・理想状態の確認
- 無料解析ソフトのインストール
- 実験計画を立てる
- 計画に従い実験する
- 結果を解析し、最適化を行う
それぞれ解説します。
1.システムの機能・理想状態の確認
初めに”システムの機能・理想状態の確認”を行います。
実践する上で、実はここが一番重要なポイント。
「システムの機能」って言われてもピンと来ませんよね。
具体的な機能の例
- 水道の蛇口(回した分だけ水量が増える)
- 車のハンドル(回した分だけ自動車の回転角が増える)
- 射出成形(金型寸法と成形品の寸法が1対1になる)
動特性のパラメータ設計では”信号因子”と”特性値”が原点(ゼロ点)を通る「比例関係」であることが理想です。
グラフにするとこんな感じ。
出典:紙で簡単に実験した冷却システムのパラメータ設計 (草野秀昭 他4名)
機能については以下のサイトp26〜に多くの例が掲載されていますので参考になります。
⇛品質工学の考え方
ここがしっかり定義できると後の計画立てがスムーズですよ。
2.無料解析ソフトのインストール
先にも述べたように”動特性のパラメータ設計”は解析ソフトを使うと簡単に実践可能。
統計解析ソフト「JUSE-Statworks(スタットワークス)体験版」はデータ数に50個までという制限はありますが、無料で何度も使える素晴らしいソフトです。
有効期限は30日。でも実はソフトをアンインストールして、再インストールすると、有効期限がリセットされます。なので永久に使える体験版です。
詳細はこちらの記事で解説していますので、手順に従いインストールを行って下さい。
今回は私も愛用している統計解析ソフト「JUSE-StatWorks/V5(スタットワークス)無料体験版」のインストール方法をご説明します。 JUSE-StatWorks/V5って?JUS[…]
3.実験計画を立てる
スタットワークスを使えば簡単に”動特性のパラメータ設計”の実験計画立てが可能。
”制御因子→誤差因子→信号因子”と指示に従って入力していけば実験計画が出来上がります。
出来上がった計画シートがこちら。
エクセルや手書きでは簡単には作れません。
解析ソフトを使う大きなメリットですね。
4.計画に従い実験する
計画ができたらいよいよ実験。
実験結果を解析ソフト上のセルに入力します。
実験が完了するとこんな感じ。
これで実験は完了です。
5.結果を解析し、最適化を行う
最後に結果を解析し、制御因子の”最適化”と”効果の確認”を実施。
最適化画面はこんな感じで、マウス操作で簡単に最適条件が作れます。
この例の実験の効果は
- 最適条件(推定値)→ SN比:6.329db 感度:-19.243db
- 現行条件(推定値)→ SN比:-3.970db 感度:-34.641db
- 利得(推定値) → SN比:10.299db 感度:15.398db
という数値です。
「どういう意味?」
ってなると思いますが、
利得というのは「最適条件-現行条件」で算出される値で”どれだけの効果があるか”を示すもの。
SN比の利得からばらつきは√10^(10.299/10)=3.273倍 改善しそうだ(ばらつきが約3分の1になりそうだ)という事。
ばらつきが3分の1になれば、製品品質としてはかなりの改善効果と言えますよね。
以上が”動特性のパラメータ設計”によるロバスト設計の手順です。
本当にばらつきを減らしたい人へ
今回は抜粋ですが、以下の記事では全ての手順を27枚の画像で1ステップごとに丁寧に解説しています。
記事のポイント
- ばらつきに強いロバスト設計を実践可
- 初心者でも実践できるように詳細解説(約9,500文字)
- 難しい数式などは無し
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ロバスト設計を実現する手順 まとめ
今回はロバスト設計を実現する”5つの手順”をご紹介しました。
ロバスト設計の手順
- システムの機能・理想状態の確認
- 無料解析ソフトのインストール
- 実験計画を立てる
- 計画に従い実験する
- 結果を解析し、最適化を行う
無料解析ソフトで”動特性のパラメータ設計”を実践することで、簡単に「ばらつきに強い」ロバスト設計が実現可能です。
下の記事では全ての手順を27枚の画像で1ステップごとに丁寧に解説。
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動いた人だけが現状を変えられます。
この機会にロバスト設計を実践して”ばらつき”による品質不具合から開放されましょう。
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ご利用いただいた方の声(2021年12月11日更新)
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わからないことがあるたびに打ち合わせをお願いしても快く丁寧に対応してくださり、本当に感謝しています。
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ありがとうございました。
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