実験計画法を実践したい人
↓
割り付けってどうやればいいの?
直交表じゃないと実験計画法はできない?
簡単に実践する方法はないの?
記事の内容
- 直交表実験をやめるべき5つの理由
【分かりやすく説明します】 - 初心者でも15分で実践できる実験計画法
【簡単です】
私は製造業のエンジニア。QC検定1級を活かし、統計手法講師やデータ解析が本業です。
以前は生産技術者として、工場に生産ラインの導入などを行っていました。
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実験計画法で一番難しいのが「直交表の割り付け」
あなたも理解できず苦労しているのでは?
直交表への割り付けができないと実験がうまくいかず、最悪の場合は判断を誤る事もあります。
結論:解析ソフトを使って応答曲面法を実践しよう。
実験計画法の1つである応答曲面法は、解析ソフトを使えば”直交表実験より簡単”です。
今回は直交表実験をやめるべき5つの理由と応答曲面法のメリットを具体的にご紹介。
その上で、誰でも実践できる簡単な”応答曲面法”のやり方を説明します。
本記事を読むと、実践しやすい実験計画法が分かり、すぐに効率の良い実験ができますよ。
直交表実験をやめるべき5つの理由【分かりやすく説明します】
- 直交表は手計算時代の道具
- 交互作用の有無を把握しないと使えない
- 割り付けが難しい
- カテゴリーデータしか扱えない
- 直交表のパターンが限られる
1、直交表は手計算時代の道具
最初に断っておきますが直交表は素晴らしいもの。
要因効果を切り分け、実験回数を減らせる優秀な道具です。
しかしコンピューターが発達した現代では、手計算時代ほどの嬉しさが無いのが事実。
直交表が悪いのではなく、他が使いやすくなったという事。
特にコンピューターで、実験可能な範囲で最適な実験計画を組む”応答曲面法”が発達。
業務ではこの計画がはるかに便利です。
これを発達させたのは主に欧米の国々。
彼らは合理的で使いやすい手法で効率化を進めています。
一方、日本はいまだに実験計画法といえば配置実験や直交表実験。
開発スピードに差が出るのは明らかですね。
2、交互作用の有無を把握していないと使えない
交互作用:2つの因子が組み合わさることで初めて現れる相乗効果のこと
引用元:統計WEB
その理由は直交表実験が実験回数を減らせるメカニズムにあり。
実は直交表実験は”特性値に影響する交互作用を計画者が指定する”事で実験回数を減らしています.
「ちょっと待て!それを調べるために実験したいんだ!」ってツッコみたくなりませんか?
”事前に交互作用を調べるために別の実験をする”ってムダですよね。
一方で、応答曲面法はとりあえず”交互作用は全部ある”として計画。
全て調べて、後から効果の有無を選別します。
じゃあどうやって実験回数を減らすのか?
- 特性値と因子の関係は2次式で表されるはず(3次以上を無視)
- 少しくらい直交じゃなくても、全体像がつかめればOK
という考え方で実験回数を減らします。
こちらの方が業務の実情に合うんですよね。
実際に欲しい結果は得られます。
欧米らしい合理的な実験計画だと思います。
3、割り付けが難しい
最大の理由がこれ。
直交表実験は計画を立てるときに”線点図”で「割り付け」をします。
これが非常に分かりにくく、間違えると実験がうまくいきません。
「割り付けが分からない」という相談を何度も受けたし、挫折する人を大勢見ました。
一方で応答曲面法は”割り付け不要”
全て解析ソフトが考えてくれます。
4、カテゴリーデータしか扱えない
例
- カテゴリーデータ:「材料A、材料B」「1号機、2号機」「男、女」
- 数値データ:温度、長さ、強度
直交表実験は数値データは扱えません。
正確に言うとカテゴリーに変換して扱います。
例えば温度は「20℃」「30℃」「40℃」というカテゴリーにして実験します。
なので「25℃」でどうなるかは不明。
一方で応答曲面法は”数値は数値”として解析。
数値データは連続性があります。
だから実験をしていない25℃で特性値がどうなるか予測可能。
さらにカテゴリーを扱うこともできます。
どちらが業務で使いやすいでしょうか?
5、直交表のパターンが限られる
主な直交表(混合系は除く)
2水準系
- L8直交表
- L16直交表
- L32直交表
3水準系
- L9直交表
- L27直交表
- L81直交表
数字は実験回数を表しています。
業務で主に使いたいのは3水準系。
現実的な実験回数はL27直交表まででしょう。
L27では因子5つ+交互作用4つしか入りません。
これを少しでも超えると81回の実験が必要・・・
使いづらいですよね。
一方、応答曲面法は実験可能な回数内で最適な計画を組んでくれます。
”応答曲面法に役に立つ記事”は下記にまとめていますので、ぜひご活用ください。
初心者でも15分で実践できる実験計画法【簡単です】
それをまとめたのがこちら。

おすすめの計画
- 中心複合計画(直交)
- D最適計画
- プラケットバーマン計画
おすすめ①:中心複合計画(直交)
実験回数の少なさ | 4.5 |
要因効果の推定精度(直交性) | 5.0 |
容易度 | 4.0 |
業務での使いやすさ | 3.0 |
総合 | 4.0 |
応答曲面法の1つ。
- 実験回数が少ない
- 因子間の効果が直交で推定精度が高い
- 割り付けがなく簡単
- 最適条件の探索向け
- 質的変数が扱えない
- 必要範囲外の水準での実験が必要
という特徴の計画法。
こちらの「実験計画法のやり方!中心複合計画で実験回数を大幅に削減【簡単】」で詳しく解説しています。
おすすめ②:D最適計画
実験回数の少なさ | 4.5 |
要因効果の推定精度(直交性) | 4.0 |
容易度 | 4.0 |
業務での使いやすさ | 5.0 |
総合 | 4.5 |
応答曲面法の1つ。
- 実験回数が少ない
- 因子間の効果がわずかに交絡
- 割り付けがなく簡単
- 最適条件の探索向け
- 質的変数が扱える
- 必要範囲外の水準での実験が不要
質的変数・量的変数が扱え、割り付けが不要。
最も実務向けの計画です。
実は最適計画は欧米では主流の計画法。
こちらの”note”で、どの専門書にも載っていない具体的な実践方法を解説しています。
☞【劇的】QC検定1級の私が「実験回数を激減させる統計手法」を解説する
おすすめ③:プラケットバーマン計画
実験回数の少なさ | 4.5 |
要因効果の推定精度(直交性) | 5.0 |
容易度 | 3.0 |
業務での使いやすさ | 2.0 |
総合 | 3.5 |
応答曲面法の1つ。
- 実験回数が少ない
- 主効果の効果が直交で推定精度が高い
- 割り付けがなく簡単
- 因子のスクリーニング向け
- 最適条件の探索は出来ない
2水準で、特性に効いている因子を絞りこむ(スクリーニング)の為の計画。
最適条件の探索には使えないが、少ない実験で効いている因子を見つけられる。
用途は限定されますが、役立つ時はもの凄く役に立つ”卵焼き用のフライパン”みたいな計画。
こちらの「実験計画法のやり方!プラケット-バーマン計画で影響因子を絞り込む。」で詳しく解説していますよ。
実践に役立つテキスト
もう少し深く学習したい。
というあなた向けに”応答曲面法の実践”に役立つ本を紹介しています。
「実験計画法の本をおすすめランキングでご紹介【初心者向け】」を参考にしてください。
実験計画法=直交表はもう古い。やめるべき5つの理由 まとめ
直交表をやめるべき理由はこの5つ。
- 直交表は手計算時代の道具
- 交互作用の有無を把握しないと使えない
- 割り付けが難しい
- カテゴリーデータしか扱えない
- 直交表のパターンが限られる
難しい直交表を勉強しなくても解析ソフトを使えば15分で実験計画法が実践可能。
具体的にはこの3記事が役立ちます。
効率よい方法を実践して仕事を楽にしましょう。
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